歯科治療(保険・保険外)を受けた場合に医療費控除は適用される?
誰でも虫歯や抜歯などで何らかの歯科治療を受けたことがあることでしょう。
風邪やインフルエンザなどであれば内科の診療を受ける場合には保険診療の範囲内で1~2回程度の通院で済むため、医療費の負担を感じることがあまりないかもしれません。
これに対して歯科であれば、1本の虫歯を治療するだけでも何回も診療所に通う必要があるため、治療費が高額になってしまう場合があります。
さらに虫歯などの治療後に歯の欠損した部分を補うために詰め物や被せ物を装着する必要があります。
銀歯であれば健康保険が適用されますが、金歯やセラミックなどを選択すると保険診療が適用されないので治療費がかなり高額になってしまいます。
医療費控除の制度を活用することができます
治療のために高額の費用を支払った場合には、医療費控除の制度を活用することができます。
年収200万円以上の方であれば年間10万円を超える医療費負担が、年収200万円以下の方であれば年収額の5%を超える医療費について、税金の控除が認められます。
所得税率が15%の方が年間15万円の医療費を負担した場合には5万円について控除が認められ、7,500円分の所得税が控除される計算です。
一般的に医療費控除は治療目的で支払われた医療費について適用されます。
保険診療は病気やケガを治療する目的の医療処置に対して適用されるので、健康保険が使えるような治療であれば医療費として税金の控除も認められます。
健康保険が適用されないような保険外治療を受けた場合でも、病気の治療が目的で支払われた費用については医療費としてみなされるので、税金の控除が認められる場合があります。
医療機関に支払った治療費以外にも、自宅から医療機関に行くために利用した公共交通機関の運賃や、病気の治療を目的として市販薬を購入した場合も医療費として認められるので、税金が控除される場合があります。
保険外治療のセラミックなども対象になる
歯科の治療で保険外治療となるケースですが、歯の欠損部分に銀歯以外の素材(セラミックや金歯)を使用したような場合です。
保険が適用される素材は耐久性が低く、数年程度で交換しなければなりなりません。これに対して保険外治療で使用する素材は耐久性が高いというメリットがあります。
金属アレルギーのために銀歯をセラミック素材に替えるような場合もあります。
抜歯した後にインプラントを埋め込む場合にも保険外治療となり、高額の費用がかかってしまいます。
インプラントも歯の機能を回復させることを目的とした治療なので、健康保険が適用されなくても病気の治療のための医療行為として認められます。
そのため、健康保険が適用されない銀歯以外の素材を利用して治療を行った場合や、健康保険が適用されないインプラントを利用して歯の機能を回復させる場合には、医療費控除の対象となります。
認められないケースも
注意点として、一部の保険外治療は医療費控除として認められないケースもあります。
歯の機能を回復させる目的ではなくて、単に見た目を良くするために審美歯科の治療を受けたようなケースの場合は医療行為とはみなされないので、医療費として認められません。
病気の治療が目的であっても、一般的な費用とは大きくかけ離れる高額の支払いをした場合にも税金の控除が認められないケースもあります。
例えば、一般的なインプラントの費用は1本あたり30~40万円ですが、1本の歯を治療するために100万円もの費用を支払ったような場合であれば、医療費として税金の控除が認められない恐れがあります。